西洋なしは16世紀頃からドイツ、イギリスで栽培されはじめ、18世紀のイギリスで代表的品種「バートレット」が発見される。これが明治初期、日本に伝わった。バートレットは、缶詰加工用として盛んに作られたが、このバートレット畑に細々と植えられていたのが、当時は受粉樹の身だったラ・フランスだ。ラ・フランスは1864年、フランスのクロード・ブランシュ氏が発見。そのおいしさに「わが国を代表するにふさわしい果物!」と賛美し、ラ・フランスの名前がついたという。1970年頃から缶詰より生のフルーツの需要が高まり、生食のラ・フランスに注目が集まる。別名「バター・ペア」と呼ばれ、特有の芳香と、果汁がしたたるなめらかな肉質。当初は高価で少量が出回るだけだったが、グルメブームの到来で、一般にも広まった。
特有の芳香
果汁が滴る滑らかな肉質
ラ・フランス以外にも実は品種がたくさんあります。東根の西洋なしは9月上旬から1月末まで美味しく召し上がれます。
オーロラ
「マルゲリット・マリーラ」と「バートレット」の交配によりアメリカで育成された。酸味が少なく、甘みが強い。肉質はきめ細かい。果皮は全面にさびで覆われ、食べ頃になると黄褐色に変化する。
バラード
「バートレット」と「ラ・フランス」の交配により山形県園芸試験場で育成され、1999年に品種登録された。親の名前の頭文字をもらい命名された。高糖度で、食べ頃の果実は黄色みを帯びる。完全に黄色になる前が食べ頃。
メロウリッチ
「ミクルマス・ネリス」と「ラ・フランス」の交配により、山形県園芸試験場が育成した品種。果汁が多く、西洋なし品種の中で最高の甘さ(糖度16~17%)。ラ・フランスと似た香りで、より強く感じる。
シルバーベル
1957年に山形県園芸試験場がラ・フランスの自然交配実生から選抜した。大果でやや酸味があり食味は濃厚。食べ頃の果実は黄色みを帯びる。保存性が良く、年末のイベントシーズンに食べ頃を迎える。
ル・レクチェ
1903年に、新潟県の小池左右吉氏が原産国フランスから苗木を導入し、栽培を開始した。独特な甘い香りと酸味の少ない濃厚な甘みが特徴。皮の色が、鮮やかな黄色に変色したころが食べごろ。当地での標記は、小さい「エ」や中黒区切りの標記としている。
■収穫 ■出荷 ※出荷時期は目安です
山形県ではラ・フランスは収穫されるとすぐに摂氏2~5度の低温貯蔵庫に入れ、10日間ほど呼吸作用を抑制します。
「予冷」とは低温冷蔵庫に入れ果実の呼吸を抑制すること。常温に戻すと、ラ・フランスは一斉に呼吸しデンプンを糖分に変化。約2週間後が食べ頃になるのです。
ラ・フランスは完熟に近くほど痛みやすくなるため、輸送に耐えられる様にやや硬めで出荷しています。
保管環境により、追熟の速度が変わりますので、ラ・フランスの状態をご確認頂き、ぜひ完熟のトロトロっとした舌触りのラ・フランスをお楽しみ下さい。
ラ・フランスは、他の西洋梨と違い「皮の色」がほとんど変わらないフルーツ。そのため「食べ頃」の判断が難しい品種です。
コツはお届け後、食べ頃になるまで「常温」で保存します。食べ頃の時期は、保存場所の温度により追熟の速さが変化しますので目安として下さい。(あたたかい場所では追熟が早くすすみます。)
食べ頃になると、軸がしおれてきて、軸の周りに「シワ」がよってきます。 また香りが強くなり、軸の周辺を軽く押して耳たぶより少し硬めの柔らかさを感じれば食べ頃です。
果汁で手がすべりやすくなります。果実を落とさないようお気をつけ下さい。召し上がる2~3時間前に冷蔵庫で冷やすと、より美味しくなります。
① 半分に切る
ラ・フランスは、皮をむかずに半分に切ります。ちなみに、召し上がる2~3時間前に冷蔵庫で冷やすと、より美味しくなります。
② 芯をくりぬく
ラ・フランスの中心部にある「芯(しん)」をスプーンでくり抜きます。くり抜いた芯はすててくださいね。
③ 果肉をすくって食べる
芯の周りの果肉をスプーンですくって食べます。こうすることで完熟ラ・フランスのとろけるような果肉も上手に食べることができます。
完熟したラ・フランスは、「冷蔵庫の野菜室」に入れます。完熟したものは、冷蔵庫でもあまり長く日持ちしません。出来るだけ早めに食べましょう。
【冷凍保存する場合】
完熟したラ・フランスを半分に切りラップに包んで冷凍します。食べる時は、自然解凍して、スプーンで果肉をすくいながらシャーベットとしてお召し上がり下さい。
※必ず完熟したラ・フランスを冷凍して下さい。